レザック 神経心理学的検査集成

判型・価格・発行年: B5判 664頁 24,000円 2005年
内容紹介:
総監修者の前書より抜粋~
慶應義塾大学医学部教授 鹿島晴雄
本書は、Muriel Deutsch Lezak博士の神経心理学評価法に関する浩瀚な著書”Neuropsychological Assessment”の翻訳である。本翻訳を思い立ったのは、本書が単に多くの神経心理学検査を載せた事典ではなく、神経心理学的評価とは何かについての深い洞察に基づくものであったためである。
当時、われわれは神経心理学的検査を通じて前頭葉症状の検討をはじめていた。 検査を通して前頭葉症状の検討をはじめてみると、 検査の実施に際してしばしば被検者の状態に合わせた手技の修正が必要であった。定量的アプローチの限界を認識するとともに、客観性ということで検査の否定もできず、まさに”前頭葉症状のとらえどころのなさ”elusiveness”を痛感することとなった。
両者のアプローチの長所を併せ持つ”中庸的アプローチ”を必要性を感じ、模索をはじめた。”Neuropsychological Assessment”第1版を手に取ったのはそのような時期であり、そこにはまさに”中庸的アプローチ”の重要性が強調されていた。
“Neuropsychological Assessment”は現在の第3版に至るまで研究室の必須の書物となり、われわれの座右の書であり続けることとなった。当然ながら皆の間で翻訳の話が持ち上がり、分担して”Neuropsychological Assessment”の第2版(1983)の翻訳にとりかかったが、翻訳に手間取っている間に、第3版(1995)の刊行に至った。Lezak先生にご相談したところ、第2版と第3版の必要な章を組み合わせた形のものを提示していただいた。本書はその翻訳であり”Neuropsychological Assessment”著者監修版というべきものである。
目次:
日本語版への序文 | |
まえがき 鹿島晴雄 | |
序文 | |
謝辞 | |
第1部 神経心理学的評価の理論と実践 | |
はじめに | |
1章 | 神経心理学の実践 |
2章 | 基本概念 脳を検査するということ/脳損傷と器質性/行動・高次機能の次元/ 認知機能/広義の認知機能 |
3章 | 脳の解剖と高次機能 脳の病理と心理学的機能/細胞学的基盤/脳の構造/ 大脳皮質と高次機能/機能の局在化の臨床的限界 |
4章 | 障害測定の理論的背景 障害測定の比較基準/損傷の測定/障害測定のパラダイム |
5章 | 神経心理学的検査の手順 検査の概念的枠組み/検査の進め/実際の神経心理学的評価過程における注意点/ 患者にとって最高の成績水準を引き出す/構造的評価 |
6章 | 神経心理学的検査の神経心理学的検査データの性質 神経心理学的検査データの評価/検査データの解釈 |
7章 | 神経心理学に必要な神経疾患の知識 頭部外傷/脳血管障害/変性疾患/中毒性疾患/感染症/新生物/ 低酸素と無酸素/代謝性疾患と内分泌疾患/栄養障害 |
8章 | 症状に影響する因子 損傷の性質/時間/患者側の因子/鑑別診断上の問題 |
第2部 神経心理学的検査法と評価技法 | |
9章 | 見当識と注意 見当識/注意,集中,トラッキング |
10章 | 知覚機能 視覚機能/聴覚機能/触覚機能 |
11章 | 記憶機能 記憶機能の全体的展望/言語性記憶機能/ 模様,図などを用いた視覚性記憶機能の検査/触覚記憶の検査/ 記憶バッテリー/特殊な記憶の問題 |
12章 | 言語機能 失語症の検査/言語能力/学習能力 |
13章 | 構成機能 描画/構築と組立 |
14章 | 概念機能 概念形成検査/推論検査 |
15章 | 遂行機能と運動行為 遂行機能/運動行為 |
16章 | 観察方法,評価尺度,調査票 精神現症評価/評価尺度と調査票 |
17章 | 脳損傷のためのバッテリーおよび複合検査 精神現症評価/評価尺度と調査票 |
18章 | 人格・適応と機能性障害の検査 人格検査/非器質的障害による訴えのための検査 |
検査索引/事項索引 | |
参考文献 |