分裂病の生活臨床 OD版
判型・価格・発行年: B5判 407頁 4,800円 2004年(OD版2020年)
目次:
「生活臨床」の理念は分裂病者を「生活者」とみる観点に立つものである。 彼らが自らの生活のパターンを認識し、生きていくうえで必要な矜持とよりどころをみつけていくこと、つまり生活経験に学ぶことが「生活臨床」の本質である。 疾病の治療概念というより、「分裂病を生きる」ことを重視した発想である。
群馬大学精神科と群馬県下の精神衛生関係者の協力で1958年より実践されていた分裂病の予後改善計画は「生活臨床」と名付けられた。高度経済成長、停滞期を経て、向精神薬の導入や精神科病床の激増のなかで、治療的実践活動として根付いていった。
本書の初版は「生活臨床」20年の蓄積の中から、理論をはじめ行動科学的側面や精神療法、また薬物療法、職業、結婚の問題から、診療所や中間宿舎、地域訓練施設など現場経験をふまえた論文を集積したものである。
社会的入院の解消、地域での精神保健福祉が叫ばれる現在、「生活臨床」の実践を記した本書は、精神保健福祉に携わる人々にとってまたとない貴重な記録である。
1 | 解説(臺弘) |
2 | 精神分裂病寛解者の社会的適応の破綻をいかに防止するか(江熊要一) |
3 | 転換期に立つ精神分裂病の医療(臺弘) |
4 | 生活臨床より見た精神分裂病の異常と治癒の概念(臺弘) |
5 | 精神分裂病者の社会生活における特性(加藤友之ほか) |
6 | 社会生活の中での分裂病者に対する働きかけ(田島昭ほか) |
7 | 生活臨床より見た薬物療法(江熊要一) |
8 | 薬物療法の役割(国友貞夫ほか) |
9 | 集団歩行時の縦並びと横並び(菱山珠夫ほか) |
10 | 分裂病者の復職について(石川辰夫ほか) |
11 | 分裂病者に対する私の接しかた(江熊要一) |
12 | 長期入院者の社会復帰促進のための実験的試み-第1報(菱山珠夫ほか) |
13 | 長期入院者の社会復帰促進のための実験的試み-第2報(菱山珠夫ほか) |
14 | 精神分裂病者の社会的条件と適応状況(湯浅修一ほか) |
15 | 群馬県佐波郡東村における精神障害者の動態(中沢正夫) |
16 | 我が国における地域精神衛生活動(中沢正夫) |
17 | 精神医療における精神科診療所の位置づけ(山越剛) |
18 | 地域におけるリハビリテーション(桂アグリ) |
19 | 精神科診療所における在宅医療(香内信一) |
20 | 生活臨床概説(江熊要一) |
21 | 昼間病室における精神分裂病治療の経験(伊勢田尭ほか) |
22 | 精神分裂病者の結婚について(中沢正夫ほか) |
23 | 分裂病者と結婚(湯浅修一ほか) |
24 | 日常生活(在宅)における生活療法(菱山珠夫) |
25 | 印刷工場における職能訓練(山田禎一ほか) |
26 | 精神分裂病をどう治療するか(湯浅修一) |
27 | 「生活臨床の歩み」座談会(横井晋、臺弘、湯浅修一、加藤友之、菱山珠夫、中沢正夫) |
「生活臨床」関連文献目録 |