ブレインワイズ 脳に映る哲学

著者・編者:P. S. チャーチランド 著 村松太郎 訳

判型・価格・発行年: A5判 420頁 3,800円 2005年

内容紹介:

西洋思想・哲学の史的変遷から、クオリア、人工神経ネットワーク、ニューラルネットなど最新の知見まで、いま「脳」が鮮やかに映しだす未来への答え かつて哲学と科学には明確な境界はなかった。
どちらも、人間を、あるいは世界を、よりよく理解しようという欲求から生まれた学問であり、知を追求する営みであった。脳と心の科学では長い間「永遠に届かない」とされ、哲学のみが扱ってきた課題に、科学からの回答が出されるようになった。その問いに対するチャーチランドの回答が「神経科学的哲学 Neurophilosophy」である。
~訳者あとがきより

これらの問いに答えるには、実験と理論の両方が必要である。創造的なデザイン、斬新な理論的推測によって夢想だにしなかった発見につながるはずである。これらの問いの源は、紀元前500年のギリシアにある。そこから西洋の思想史にくまなく分岐を出している。そして、これらの問いに答えるには、心理学、神経科学、分子生物学のすべてが必要である。だからこそ、これらの問いは哲学の問いなのである。私はそう信じている。
~本文より抜粋


目次:

1章 まえがき
一部 形而上学
2章 形而上学とは アリストテレスの真意/形而上学とは/因果関係は幻影か
3章 自分とは何か 自分とは何かとは何か/身体や自己の内的モデル/自己表象への道程
4章 意識 問題のありか/心身二元論から科学への挑戦状
5章 自由意志 意志と罰/行為の原因と自由意志/自由意志についての旧説/意志決定の神経生物学に向けて /理性を学習する/責任の行方/科学から社会へ
二部 認識論
6章 認識論とは プラトンの譲歩/心の科学と認識論/ダーウィンの革命/守旧派の抵抗 /21世紀の認識論:自然科学的認識論
7章 表象する脳 親脳派vs反脳派/脳は表象するか/表象の理論への道しるべ/神経系におけるコード化 /ローカルコードとベクトルコード/顔認知の人工神経ネットワーク/意味論から認知的意味論へ /カテゴリーの形成/私、ここ、いま/霊長類の空間表象/表象の未来
8章 学習する脳 知はどこから来るか/先天的な知と後天的な知は分けられるか/神経系の情報貯蔵 /甘い密?正の強化学習とドーパミン/恐怖条件づけ?負の強化学習と扁桃体/陳述記憶と海馬 /人工神経ネットワークの学習/アリストテレスから自然科学認識論へ